小さい穴を覗いて掘るのが大好きで

耳かきが好きだ。自分の耳をほじるのも好きだが、人の耳をほじるほうが好きだ。子供が小さかった頃、子供の耳をほじっている時が私の至福の時間だった。子供は代謝が激しいので、すぐに耳垢がたまる。

小さい穴の奥にみえる塊が、私を呼んでいた。痛くないように、塊を崩さないように、少しずつ少しずつ掻いていく。

「ガリガリ音がするよ。そこに耳垢があるんだね。大きく取ってね」

私の膝に頭をくっつけて耳をほじられながら、子らは私に言ったものだ。

「あいよ!」

私は俄然はりきった。

大きな塊がごそっと取れた時の快感、あれはいったいなんだろう。綺麗になった耳の穴を眺めると、少し寂しくなるのは何故だろう。

すっかり大きくなった子らは、もう私に耳をほじらせてくれない。「耳かきさせて」と言っても「絶対やだ!」と返される。どうやって処理しているのだろう。自分でほじっているのだろうか。彼女にほじってもらっているのだろうか。それとも溜めにためているのかもしれない。ほじりたすぎる。やらせてくれたっていいじゃないか。大きな塊をとってあげるから。

もはや誰も私に耳かきをさせてくれない。こんなにやりたいのにな。いっそのこと「純粋に耳かきだけやります」という看板を家の前に立ててみようか。客、くるかな。どうかな。

コメントは受け付けていません。